6月13日に国交省中央建設業審議会の第4回経審改正専門部会が開催され、国交省から示された経審改正案が了承されました。今後、中建審総会決議を経て平成20年度から改正経審が実施されることとなります。今回は国交省から示された改正案をもとにレポートします。
  
  
   @完成工事高評点のウエイトを下げます。
   A『自己資本』と『利益』の評価を重視します。    
   B技術力評価を重視します。
   C社会的責任の果たし方により大きく差をつけます。
1.企業規模の評価方法の見直し(X1)(X2)
 (1)完成工事高(X1)
  @総合評点(P)に占めるウエイトを35%から25%に引き下げます。
  A評点の上限を現行2,000億円から1,000億円に引き下げます。
  B完工高5億円以下の企業層で完工高評点により差がつくように評点テーブルを変更します。
   ウエイトが10%引き下げられることになるため、総合評点(P)に占める完工高評点の影
    響は相当に下がります。一方、小規模企業間(特に完工高3億円以下の層)ではこれまで
    より評点差が出る面もあります。
 (2)自己資本等(X2)
 現行の自己資本/完工高、職員数/完工高(完工高に対してどれだけ自己資本や職員数があるか)という評価方法は廃止。自己資本額とEBITDAの絶対評価(大きいほど高得点)になります。
  @総合評点(P)に占めるウエイトを10%から15%に引き上げます。
  A自己資本額(純資産額)は上限3,000億円、下限0億円として点数化
  BEBITDAは上限300億円、下限0億円として点数化
  ※EBITDA(イービットディーエー)利払前税引前償却前利益=営業利益+減価償却費
   EBITDAは、減価償却費が大きいほど高くなります。従って、減価償却のある固定資産
    (建物、設備、車両、機械等)であればプラス要因として作用します。また、職員数に関する
    評価が無くなるため、有資格者(技術職員等)以外は何人いても評価は変わらなくなります。
2.経営状況に関する評価方法の見直し(Y)
 現行の経営状況分析(Y)の12指標から下表の8指標に変わります。総合評点(P)に占めるウエイトは20%のままで変わりません。
 現行12指標は有利子負債、固定資産、立替工事高などに着目し貸借対照表科目を重視した構成となっています。これは、平成10年当時に相次いだゼネコン経営破綻の主原因が不良資産や過大な有利子負債にあり、それを経審に反映させることを重視していたためです。一方、この弊害として、適正範囲の借入金や設備投資であってもマイナス評価され、固定資産を持たないペーパーカンパニー的企業が高得点を得てしまうという問題が指摘されていました。
 今回の改正で、現行12指標のうち残されるのは下表@BDだけで残り5指標は新設されます。AEFGは全て利益をはかる指標です。固定資産が直接関係する指標はDだけとなり、有利子負債について直接的に大小をはかる指標は無く、@の支払利息やCの流動負債、固定負債などを通じて間接的に影響する仕組みとなっています。総じて、極めて利益重視の指標構成といえ、借入金や固定資産が小さくても利益率、絶対的な利益額の低い企業は高得点は望めません。
 なお、完成工事未収入金や未成工事支出金など立替勘定により必要運転資金の大小をはかる指標も無くなることから、決算期による有利不利の問題は小さくなると考えます。
8指標 Y点への
寄与度
算出式 上限値 下限値
@純支払利息比率 29.9% (支払利息−受取利息配当金)/売上高×100 5.1 -0.3
A総資本売上総利益率 21.4% 売上総利益/総資本(2期平均)×100 63.6 6.5
B自己資本比率 14.6% 自己資本/総資本×100 68.5 -68.6
C負債回転期間 11.4% (流動負債+固定負債)/(売上高÷12) 18.0 0.9
D自己資本対固定資産比率 6.8% 自己資本/固定資産×100 350.0 -76.5
E売上高経常利益率 5.7% 経常利益/売上高×100 5.1 -8.5
F営業キャッシュフロー 5.7% 営業キャッシュフロー(2期平均)/1億 15.0 -10.0
G利益剰余金 4.4% 利益剰余金/1億 100.0 -3.0
 ※『↑』数値が大きいほど良い 『↓』数値が小さいほど良い
 
3.技術力に関する評価方法の見直し(Z)
  @総合評点(P)に占めるウエイトを20%から25%に引き上げます。
  A元請完工高評点を新設します。
   元請業者のマネジメント力を評価する観点から、元請完工高を業種毎に上限1,000億
    円、下限0円の範囲で点数化します。従来の技術者数評価と元請完工高評価のバランスは
    概ね4対1とします。
  B技術者数評価の変更
    監理技術者講習受講者を追加加点対象とします。
    基幹技能者を新たに加点対象とします。
    階段型の評点テーブルを線形化します。
4.その他の審査項目社会性等に関する見直し(W)
 下表のように変わります。総合評点(P)に占めるウエイトは15%のままで変わりません。
  @雇用保険・社会保険未加入の減点を2倍にする他、営業停止等の行政処分を減点対象にし
   ます。
  A建退共、法定外労災補償制度等の加点対象項目の加点を2倍にします。
  B会計処理の信頼性により差をつけます。
現行 改正案
雇用保険未加入 −15 −30
社会保険未加入 −15 −30
賃金不払件数 −15 廃止
建退共加入 7.5 15
退職一時金制度の導入 7.5 どちらか一つで
15
企業年金制度の導入 7.5
法定外労災制度の導入 7.5 15
工事の安全成績 30 廃止
営業年数 30 60
防災協定の締結 15
公認会計士等の数 10   監査の受審等 20 ※1
  公認会計士等 10
法令遵守状況  ※2
−30
研究開発の状況 ※3
25
         ※1会計監査人の設置20点、会計参与の設置10点、社内有資格者による自主監査2点
         ※2営業停止処分−30点、指示処分−15点
         ※3会計監査人設置会社に限る