中小企業が働き方改革をすすめるための人事労務管理を支援いたします
働き方改革に関するコラムを連載中!!

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2018-07-11
【働き方改革関連法の施行時期まとめ】

働き方改革関連改正法の施行時期をまとめてみました。
中小企業には一部について猶予措置が設けられており、(    )内は中小企業での施行時期となります。

○時間外労働の罰則付き上限規制
2019年4月1日(2020年4月1日)
※ただし、建設事業、自動車運転業務、医師等については猶予措置あり。

○高度プロフェッショナル制度の創設
2019年4月1日

○フレックスタイム制の精算期間見直し
2019年4月1日

○年次有給休暇の5日取得義務化
2019年4月1日

○勤務間インターバル制度導入の努力義務化
2019年4月1日

○産業医・産業保健機能の強化
2019年4月1日

○非正規雇用者と正規雇用者の均等・均衡待遇
2020年4月1日(2021年4月1日)

○中小企業の割増賃金率の見直し
(2023年4月1日)

2018-07-06
【働き方改革関連法について】

今国会で成立した働き方改革関連法について、重要項目ごとにポイントを解説していきます。

その3 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
高度の専門知識等を必要とし、時間と成果の関係が高くないと認められるものと省令で定めた業務について時間外・深夜・休日労働に関する割増賃金の適用を除外する制度です。

ただし、無制限にこの制度を適用することは許されず、

①厚生労働省令で定められた業務であること
②労使委員会で決議し労基署に届出ること
③労働者の同意が得られること(不同意の場合の不利益取り扱いの禁止)
④厚生労働省令で定める一定水準以上の賃金が支払われること(平均年収の3倍以上)
⑤年104日以上、4週に4日以上の休日を付与し、その他、法令で定める健康管理措置を講ずること

などの制限が設けられています。

今回の働き方改革関連の改正法のうち、マスコミ等で最も注目され、また議論の分かれた制度といえます。
既存の労働時間諸制度は、労働は時間で計測し賃金を支払うことが大原則でした。裁量労働制であれ、フレックスタイム制であれ、労働時間の運用が柔軟なだけでこの原則は変わりません。
従って、どのような制度でも時間外労働等に対する割増賃金は生じ得ます。

ところが、高度プロフェッショナル制度は、「労働の価値=時間で計測」という大原則を変えて、成果に対する報酬としてのみ賃金を位置づけたことになります。
もちろん、先に述べたような要件があり労働者の健康管理上必要な制限はありますが、考え方としては労働時間規制の転換が一部において始まったと考えて良いでしょう。

従って、この制度が過労死などの過重労働を助長する恐れがあるという批判は、労働時間規制のタガを外したという意味であれば的を得ているものと考えます。
一方で、労働時間と成果が比例しない業務が増えているのだから、時間で計測するのは企業経営上不合理だし、高度専門職労働者のモチベーションや生産性を阻害するという意見も経済界を中心に根強いものがあります。

ともあれ、年収要件をクリアできる労働者は大企業を含めた労働者全体でも極めて少いとされており、ましてや中小企業では当面関係の無い話といえるのかもしれません。

2018-06-26
【働き方改革関連法について】

今国会で成立が見込まれる働き方改革関連法案について、重要項目ごとにポイントを解説していきます。

その2 非正規雇用者や派遣労働者と正規雇用者との均等・均衡待遇の実現
いわゆる「同一労働同一賃金」といわれる考え方に基づき、パートタイム労働法、労働者派遣法、労働契約法の改正がおこなわれます。
改正案では、短時間労働者・有期契約労働者・派遣労働者の待遇について、正規雇用者の基本給や諸手当、福利厚生等の個々の待遇との間に、その待遇の目的や性質に照らして不合理な格差を設けることが禁止されます。

例えば、正規雇用者に対して支給されている諸手当のうち、非正規雇用者にも同様な目的や必要性があるものと判断される諸手当について支給しないとすることなどが違法と評価される可能性が高くなります。

また、非正規雇用者と正規雇用者との待遇格差について、内容や理由の説明も義務化されます。

働き方改革関連法案のうち、パート、アルバイト、派遣労働者を使用する中小企業にとっては、最も影響の大きい改正項目といえるでしょう。

例えば、コース別の人事管理の仕組みがあったり転勤や配置転換のある大企業ならともかく、中小企業の多くでは正規雇用者と非正規雇用者の間に、業務内容や人材活用の仕組みに大きな差が無かったりすることは良くあることです。
多くの中小企業で、正社員とパート、アルバイト等の待遇格差について「バイトだから」という理由のみでは許されなくなるものとお考え頂いて良いでしょう。

従って、単に非正規雇用者の賃金等の待遇を見直すということだけでは足りず、非正規雇用者に頼る業務のあり方自体を見直していくことも求められるかもしれません。
適正に対応していくためには、企業のサービスや商品の見直しなど企業戦略全体の再構築を含めた検討が要るものと考えます。

●施行時期は、未確定要素があるため成立後まとめて記載します。
つづく

2018-06-20
【働き方改革関連法について】

今国会で成立が見込まれる働き方改革関連法案について、重要項目ごとにポイントを解説していきます。

その1 長時間労働の是正
①時間外労働の上限規制
現在、大臣告示により定められている1ヵ月45時間、年間360時間等の時間外労働の上限を法律による規制に改めます。
また、特別条項に基づく例外的な時間外労働についても法律による制限を設け、
○単月100時間未満(休日労働を含む)
○複数月平均80時間未満(休日労働を含む)
○年間720時間未満
と定めます。

従来も36協定の上限時間は、大臣告示の制限に合わせることが原則ではありましたし、特別条項による時間外労働についても安全配慮義務の見地から、やはり月80時間程度を上限とすることが多かったと思います。
これが法律による規制とされることで、行政からの指導も強力になり、違反した場合の刑事罰適用のケースもより増えるものと想定されます。

なお、建設事業、運送事業、医師等の一部の事業については適用猶予とされ、法施行5年後に適用開始となる見込みです。

②中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金の割増率を50%以上とすることについて、中小企業における猶予措置が廃止されます。

③年次有給休暇取得の義務化
10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について、少なくとも5日以上取得させることが義務化されます。

●施行時期は、未確定要素があるため成立後まとめて記載します。

つづく

2018-05-17
【働き方改革関連の助成金】

「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバルコース)」がリニューアルされました。

この助成金は、新たに勤務間インターバル制度を導入したり、導入済みの企業でもインターバル時間を増やすなどした場合に、要した経費の一部を助成をするものです。

勤務間インターバルとは、終業時刻と翌始業時刻の間に一定時間の休息時間を設けることを義務付ける制度です。
例えば、勤務間インターバルを11時間と定めた企業で、仮に23時まで労働者が勤務したとすると翌10時までは勤務を開始することはできません。
要は、労働時間と労働時間との間に絶対的なインターバル時間(休息時間)を設けることにより、過重労働による健康被害を防止しようという仕組みです。

先に紹介した「時間外労働等改善助成金(上限設定コース)」と同じく、時短のための研修やコンサルティング費用はもとより、就業規則改定に要する費用などが助成対象となります。
また、助成対象を「労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」としている点も同じで、かなり広い範囲の設備投資が助成対象となります。

助成対象となる勤務間インターバル時間も「9時間以上」であり、決して制度導入が困難な時間ではありません。

例えば、就業規則が現状と乖離していたり法改正への対応が不十分であったりする企業が、就業規則のリニューアル時に併せて勤務間インターバルを導入し、その改定にかかる費用を助成してもらうという使い方もできると思いますのでお勧めですね。

  
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2018-05-15
【働き方改革関連の助成金】

「時間外労働等改善助成金(上限設定コース)」がリニューアルされ、建設業、運送業も助成対象業種となったほか、補助率も上乗せされました。

この助成金は、36協定の時間外労働時間の上限時間を短縮する目標設定をし、実際に締結・届出をおこなった企業に対して、要した経費の一部を助成をするものです。

時短のための、研修やコンサルティング費用はもとより、労働時間管理を適切におこなうための勤怠ソフト導入などが助成対象となります。

特筆すべき点としては、助成対象を「労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」とし、かなり広い範囲の設備投資等について助成がされる点です。
基本的には、企業のあらゆる設備投資は、業務効率を向上させるためにおこなわれますから大半のモノは対象となり得るものと考えられます。

自社の36協定の内容を一度確認頂き、見直す余地があれば是非検討したい助成金ですね。

  
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2018-03-10
何かと話題の裁量労働制について【その3】

とりあえず裁量労働制の適用拡大は、今回の働き方改革関連法案から除かれることになりましたが・・・
せっかくですので、続けて書きたいと思います。

これまで、裁量労働制が生まれた背景、現行の裁量労働制について整理しました。では、今回議論されている裁量労働制の問題は何なのでしょうか?

今回の改正趣旨は、企画業務型裁量労働制の適用拡大で、
①事業運営についてPDCAマネジメントサイクルをおこなう業務
②法人運営について、企画、立案、調査、分析を主としておこない、その成果により商品・サービスをその法人専用に開発し、提案する業務
の二つを加えることです。

世間的には、法人営業職に拡大と云われていますが・・・
改正要綱を読む限りでは、かなり限定的です。法人向けの営業といっても、主は調査分析とオーダーメイド商品開発の業務であって、既成商品、汎用商品の組み合わせによる提案業務や営業自体が主である業務には適用できません。
正しくこの定義に該当する労働者が果たしてどれぐらいいるものなのかという素朴な疑問が生じるところです。

ところが、先日報道された某大手不動産会社の例では、社員1,900名のうち600名もの社員に企画業務型裁量労働制を適用していて、実際過労死する社員まで出ていたわけです。
この改正を先取り的に拡大解釈して適用していたようですね。

このように裁量労働制が適用できる業務を拡大解釈して適用されている現実があり、さらに、みなし労働時間と実際の労働時間の乖離、健康確保や苦情申し立措置制度の機能不全、といった点が問題視されているのですね。
また、
先に述べたとおり、裁量労働制を適用するためには労働基準監督署への届出が必須です。従って、行政側が裁量労働をおこなっている企業を把握することは可能なはずであり、よく分からない統計データを持ち出したことも理解し難いといえます。

より本質的には、
確かに費やした労働時間と付加価値が必ずしも比例しない仕事の割合は増えています。
一方、時間にかかわらず生み出された成果物に対してのみ対価を支払う契約方法はあり、それは「請負」です。

実は、専門業務型裁量労働、企画業務型裁量労働で認められている業務の多くが「請負」でもおこなわれている業務なのです。

労働と請負の、いわば中間的働き方として「裁量労働制」を考えるとすると、請負に近い自由を得ながら労働者としての保護も受ける良いとこ取りが可能なら、労働者としても魅力的なはずです。
労働者に裁量を付与することだけで付加価値が向上するなら企業も大喜びです。

ところが、実際には請負ほどの裁量も自由も無く、労働者としての保護に欠け、付加価値も上がらない実態だと批判されているのですね。

これを裁量労働法制の欠陥と考えるか、運用する企業側の問題と考えるか、
議論が深まることを期待して、働き方改革関連法案の推移を見守りたいと思います。

2018-03-01
何かと話題の裁量労働制について【その2】

現行法で、裁量労働制はどのようにな仕組みになっているのでしょうか?

基本的に、1日について労使で協議して決めた時間を労働時間とみなします。(みなし労働時間)
例えば、1日10時間と労使で決めたのであれば、実際に何時間働いたかに関係なく、多くても少なくても10時間働いたものとみなして賃金を支払うことになります。

もちろん、どのような業務でも裁量労働制を採用することができるわけではありません。
大原則として、
「業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある」業務
「当該業務の遂行の手段及び時間配分について使用者が具体的な指示をすることが困難(もしくは、指示しない)」な業務
でなくてはならず、
この二つの条件に合致するものとして国が定めた特定の業務についてのみ、一定の手続きを経て裁量労働制をとることが認められています。

この特定の業務には、
「専門業務型裁量労働制」
「企画業務型裁量労働制」とがあります。

「専門業務型裁量労働制」は、
研究開発業務、新聞や雑誌の記者、衣服や工業製品のデザイナー、コピーライター、金融や証券のアナリスト、情報処理システムの分析や設計、ゲームソフトの創作、大学教授、弁護士、建築士などの19業務に限定して認められています。
要は、高度な専門性を有すると考えられている業務ですね。

「企画業務型裁量労働制」は、
本社等の企業全体の経営を統括する事業場において、経営に関する企画、立案、調査及び分析の業務をおこなう労働者について認められています。
こちらは、本社経営管理部門の専門スタッフ職などを想定しています。

なお、実際に裁量労働制を導入するためには、様々な手続きが必要です。
「専門業務型裁量労働制」では、対象業務、みなし労働時間、労働者の健康確保措置、苦情処理方法等について労使協定を締結し労基署に届出る必要があり、「企画業務型裁量労働制」では、労使委員会を設置し、同様な内容について協議して決議をおこない労基署に届出る必要があります。

以上を整理すると、
①労働者個人に仕事の仕方を大幅に委ねる必要があると国が定めた専門性の高い業務について
②会社が具体的指示をしないことを条件に、
③一定の手続きを経て、
④実際の労働時間にかかわらず労使で合意した賃金を支払うことができる制度ということにとなりますね。

次回は、裁量労働制にはどのような問題があり、議論されているのかついて述べたいと思います。

2018-02-23
何かと話題の裁量労働制について【その1】

今国会では「働き方改革関連法案」の一つとして、裁量労働制の適用拡大が議論されています。

裁量労働制とはどのような制度で、そもそも、どのような背景により導入されてきたものなのでしょうか。

学術的にはともかく、実務者レベルでの理解は次のようなものになります。

歴史的に労働時間に関する規制は、工場労働などの工業的業種をモデルに発達してきました。
例えば、
流れ作業の製造ラインを1時間余分に動かして、労働者が1時間余分に働けば、1時間分多くの生産物をつくることができます。
つまり、労働時間に比例して価値をつくることができるというのが工業的業種モデルといえます。
この世界では、労働時間に応じた賃金支払いをするのが自然であり、健康被害などを防ぐための労働時間規制を割増賃金の支払に求める(要するに残業させた分だけ企業は利益を得ているのだから)ことも自然です。

ところが、産業構造が複雑化、高度化し、かつ製造業などの第二次産業から情報、金融、サービスなどの第三次産業へ転換が進むにつれて、労働時間と労働によって生み出される価値とが必ずしも比例しない仕事の割合が増えていきます。

例えば、新商品の販売戦略を企画する仕事があるとして、Aさんが20時間かけてつくった企画書と、Bさんが5時間でつくった企画書とで、その優劣は投入した労働時間に比例するとは限りません。
返って、短時間でつくったBさんの方が優れている可能性もあります。

そうすると、企業側からは、そもそも労働時間と価値は比例するとは限らなくなってきているのだから、それに見合う労働時間規制や賃金の支払い方を許容する仕組みが必要という声が高まってくるわけです。

また、世の中に様々な仕事が増え、働くこと自体が複雑化する中で、画一的な指揮命令になじまない仕事も増えていきます。
労働者個人の裁量を認め、思考力、創意工夫、アイディアや感性を発揮させることができる自由な環境をつくることが価値向上に結びつくような仕事領域も拡大してくるでしょう。

要は、造れば造るだけ売れる時代、回れば回るだけ売れる時代は遠い過去のものとなり、どれだけ造るか(売るか)ではなく、何を造る(売る)か、どう造る(売る)か次第で、企業の業績がぜんぜん違ってくる世の中になったということですね。

このような時代背景のなかで、労働時間と賃金の関係を見直すこと。自律的な働き方を許容すること。などを目的として生まれてきたのが裁量労働制といえます。

次回は、裁量労働の現行法制について解説します。

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